日記を書くと今日生きていた事実が自分の中にしみわたり、 よく眠れる。自家製睡眠薬のためだけに日々の事実を文字化する お馬鹿な私のための日記帳。
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私の美しい鋏
2015-04-22 Wed 19:36
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ずっと探していた鋏をふらっと行った美術館で見つけた。
「鋏、好きなんです」と言って不思議そうな顔をされる。
私の美しい鋏はごろりと無造作にそこに転がっていた。

鋏が好きである。
最初に意識をした鋏は、祖母のお裁縫箱に入っている裁ち鋏だった。
祖母の母の形見というその鋏は、幼い私には異形であった。
小さい手では片手で持てず、常に持ち手もひんやりと冷たい。
危ないからとあまり触らせてもらえなかったせいもあって、
時々、祖母の目を盗んではそっとお裁縫箱を開けて鋏を撫でた。
祖母の裁ち鋏は、夏も冬もいつも同じ冷たさであった。

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無意識に鋏を集めている事に気が付いたのは社会に出た頃。
学生の時も使いもしないのに、いつも筆箱には鋏が入っていた記憶がある。

これは告白だが、私が初給料をもらい一番最初に買ったのは鋏だ。
贖ったのは剪刀(医療用鋏)と高級な紙切り鋏の2挺。
さらっと無意識に、トイレットペーパーでも買うように手に入れた。
常々鋏に恋焦がれて、は絶対に違うのだ。
正しい鋏の贖い方ではない。

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誕生日に何が欲しいと恋人に聞かれて、鋏の写真集が欲しいと答えた事もある。
当時は貧乏で買う事が出来ず、洋書で、鋏の歴史を追っているマニアックな本だ。
そんなやっぱりすぐ絶版になり、電脳世界の力を借りても、
もう手に入らない本であった。
見つけられる訳がないと思っていたのに、
かぐや姫の帝のようにそれをプレゼントされた時は
釣り上げらえた魚のようにぱくぱくと、何も言えなかった記憶がある。
勿論すごく嬉しい反面、瞬間的に、
鋏は異性からプレゼントされてはいけない物だと気付いた。

縁を切る等のそういう迷信めいたものではなく、
鋏は私にとっては女性性そのものの象徴なのだった。
刃をそっと重ねて狂気を整えて仕舞い、
開く時には何事もないように切ってゆく。
鋏は女性の私が秘するものだったようだ。
欲しいと言ったのにあまり喜ばないので当時怪訝な顔をされた。
当たり前である。言い訳と謝罪も含めてここに記す。


今回探していた鋏が見つかって本当に嬉しい。
試しに何も書いていない真っ白の紙を少しだけ切って、ふふと笑う。
無駄な切りは出来るだけしたくない。
必要な時に静かに切ってゆく鋏にしたい。

これからまだ出会うであろう鋏を思って、
そっと頬ずりした。
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インくらげラストナイト
2015-02-27 Fri 21:44


実はここ1ヶ月、くらげの中で生きていました。
もやもやした半透明の白い隔たり。
乱れる事のないリズムと、効率性のみを最大に重要視したモノトーンなこの世界。
丸くなって眠ったふりをしてしまえば、居心地は悪くない。
ただ、そうすると同時に輪郭も溶けて行くから恐ろしい。
そんなひと月でした。

長かったかと問われれば、家族や大事な人や友人のおかげで退屈する事はなかった。
ただ、夜が本当につらかった。
毎晩毎晩、永久に終わらないのではと3時くらいから夜景を眺めてた。
夜行性だった私がここまで変容するのも恐怖のひとつだった。
夕日を見る度に夜が怖くて気分が悪くなったのにも驚いた。

隔離された世界から今日の午前に出ます。
新たな土地で生活を始める気分です。


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サンタはトナカイ肉を売り、門松を買う
2014-12-26 Fri 20:40
2014年の12月は例年に比べてつらくない。
商業施設のクリスマスソングをエンドレスに聞かされても暴れたくならないし、
25日を過ぎた途端に鉄砲玉のように流れる初詣のCMを見ても舌打ちもしない。
数十年生きて成長したと思いたい。

ここで断言しよう。
私は日本の勘違いしたクリスマスが嫌いだ。
ペラペラのツリーにギラギラの物がぶる下がって、闇鍋みたいなクリスマス。
誰かと過ごさないといけないあの脅迫観念に、
「人間はひとりで生まれてひとりで死んでゆくのだよ」
と顔を白塗りに赤襦袢を着て耳元でそっと囁きたい。

そして正月も苦手である。
毎年何故か風邪をひいたように体がだるい。
餅は美味しいが腹持ちが悪く、タイ料理屋はお休み。
私は…っ!ポピアソが食べたいんだよ…っっ!

サンタが赤いスーツを脱いだらくりからもんもんで、
的屋のおっちゃんになり、初詣でたこ焼き売ってる感じと言えばいいか。
全部が正月という名のハリボテ、助走をつけて蹴り飛ばしたら日常が待っていると知っているのに、
日本中が騙されたフリをしているなんともいえない空虚感。

しかし今年の不思議な程につらくないこの12月、
残り何日と考えず、何としてでも平々凡々と他の月と同様に過ごそうと思う。
でも知ってるんだ。
妖怪年末年始は急に現れるから気を抜いてはいけない事を。
きっと今も50%オフになったクリスマスケーキの影から私をじっと見てる。

嗚呼怖い怖い。

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魂が還りたいと望む場所「桜座」
2014-11-26 Wed 20:00
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はじめて行った場所なのに何故か懐かしい思う場所がある。
この感覚はとても稀で、人生で数回しか感じた事が無い。
それは幸福で、贅沢で、愛おしい。

そこは、椅子の置き方ひとつとっても完璧だった。
うす明かりの中に置かれたグランドピアノやオルガン、
やわらかに浮き上がる幾つものガラスシェード、
ひんやりとしているコンクリートの床さえ温かみを感じる場所だった。
コーヒーの香りがふあっと立ち上がり、磨かれた銀色の灰皿が並ぶ。
いらっしゃいと迎えてくださる方の優し気な目。

あまりに理想的な場所、桃源郷と言っても過言ではないその場所に驚いて、
はじめましてよろしくおねがいしますという声がかすれた記憶がある。
ふと壁を見ると、ずっと現物を見たいと願っていた作家のポスターが並んでいた。
これはなんだ、これはどうしたということなんだ、美しいってここの事だよ。
かつては芝居小屋だったと教えていただいた時、役者の声や観客のざわめきが聞こえた気がした。

そんな「桜座」にまた行けました。2度目です。
やはりお邪魔する度に愛おしくて愛おしくて仕方がない。
私、座敷童になって、ここにずっといたい。
出会えて本当に良かったと思える場所のひとつで、
お伺いすると正しく呼吸ができるような気さえする。

魂が還りたいと叫ぶ場所、それは桜座。
今も既に、私の身体から魂は甲府に向かって抜け出ようとしている。

桜座
http://www.sakuraza.jp/
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暑中お見舞い申し上げ海月
2014-07-27 Sun 15:58
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お暑うございますねえ。
世の中すべて蒸し器のようで
かったるくて生温かく、ひどくやさしい空気です。

あまりの日差しに目の前が真っ暗になって、
一昨日、真夏の雪を見ましたよ。
窓の外から蝉の鳴く声が聞こえて、
海月が空から舞い降りてくる、ふありふありと海月が、まあるい雪が降ってくる。

視界は罪深い純白の雪景色と、大量の揺らめく海月たち。
影を消すナイフのような日光が雪原に反射して、眼を開けていられないほどそれはそれはまぶしく
地面に落ちた海月は一瞬にして、しゅっと溶けて消えていきました。

海月は雪で出来ていると、その時、気が付いたのはここだけの秘密の話。

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海月の白蜜寒天添え、木苺海月ゼリー、海月きな粉餅、和三盆七色海月、偽物海月琥珀糖、
海月最中うぐいす餡、海月氷ラムネシャーベット乗せ、ゼリーフィッシュシトロン。

宝物の大きな茶色の薬瓶から出した茶葉で、
あなたと私に、海月にお茶でもいかがです。
真夏の月光の下、降り積もる海月に素足を埋めて、
待ち合わせをしましょうか。

暑中お見舞い、夏雪海月と共に。
どうぞご自愛くださいませ。

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